田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.18~ 寒の戻りで初心に戻る

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。

伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


草木が芽吹きはじめました。春です!

とはいえ油断は禁物。
今年は寒の戻りが厳しく、いつまでたってもストーブが欠かせません。
寒の戻りとは、春の暖かい日が続く中、低気圧が通過したあとに一時的に西高東低の気圧配置になり北寄りの風が強まって厳しい寒さになることで、花冷えともいいます。

おかげで、庭のふきのとうが顏を出してから一カ月も食べることができたのですから、寒さも悪いことばかりとは言えません。


家の周りでは、水仙が咲き、桜も咲きはじめたというのに、
先日は、夜の間ずっと家が飛びそうなくらいの突風が吹き荒れ、それから大雪になりました。

それでも、太陽がでてくればそこにあるのは春の日差し。
雪の中からは、ふたたび水仙が顏をだし、雪でたわんだ竹林ももとに戻っていました。
自然って、力強いですね。
わたしもこの春から、もっと力強く生きようと決めました。

実は、今まで何となくセーブしている部分があったのです。
「自然の中にいるのだからもっとゆっくり暮らさなきゃ」
「移動手段が自転車なんだから、これはできないあれはできない」
などと、自分でブレーキをかけていたような気がします。

ここ数カ月は、塾の生徒さんたちの多くが卒業してしまうこともあり、
身動きのしやすい東京に戻って暮らそうかと思ったりもしました。

でも、春の大雪とそれに負けない木々の力強さを見て、単なる現実逃避だと気づいたのです。

「いつか、いつかと思って今を我慢していたら、いつまでたっても輝けない。
老後のために今を我慢するのをやめて、今この瞬間を生きよう!」
と東京から移住してきた頃の決意を思い出しました。

まずは、ソロバン教室。
西箕輪校に続き、伊那市街に、通り町校をオープンしました。
すでに生徒さんも集まり始めています。
通り町校で曜日を決めて開講することにした大人のソロバン教室にも、何件も問合わせをいただいています。

ファイナンシャルプランナーとして、老後貧乏にならないための家計設計のお話会のオーダーもいただいているので、
これをきっかけに週末起業していくことも予定しています。

ソロバン教室が始まるまでの時間は、旅行会社で働くことにしました。
田舎は運転免許がないと働き口がないと思っていましたが、探せばいい仕事があるものです。
銀行員時代から好きだったお客様とのコミュニケーションが求められ、
しかも旅行の行程についてお話するということは、旅行好きのわたしの経験や想像力を活かすことができ、とても楽しく働かせていただいています。

人生120年。まだ折り返してもいない。
まだまだこれから「力強く楽しくわたしらしく」やっていきます!!


☞ 田舎暮らしの詩 VOL.1 から読む