田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.12~ ソロバン教室

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。

伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


中学生向けの塾を始めてすぐに、勉強嫌いな子どもが多いことに気づきました。
そこで、小学生にうちに「勉強が楽しい」「世界を広げることが楽しい」と思ってもらうために、ソロバン教室も始めました。

ソロバンをすると、計算力がつくのはもちろんのこと、集中力がついたり、頭の回転が早くなったりします。
右脳を活性化するため想像力も豊かになります。
脳の中の眠っていた部分を使うことで、脳全体が働くようにする効果があるのです。

スマートフォンが普及し、電卓アプリで簡単に答えが出せる時代だからこそ、「自分の頭で考える力」をつけてほしいと思います。

ソロバン教室を始めたころは、教室というよりはソロバン遊びの場でした。

「ピンポーン♪」
チャイムがなってドアを開けると、
「あれ?誰もいない……」
毎回のように、かくれんぼで始まるソロバン教室。

やっと全員見つけたところでお絵かきタイム。

わたしの似顔絵、「ちかまつ」だそうです。

いたずらは日に日にエスカレートしていきました。
ある日、いつものようにドアを開けると…

「!!!」

息が止まるほど驚いたわたしを見て、
「大成功〜」
と犬とパンダと戦場カメラマンにふんした子どもたち。

学校帰りにこんな被り物まで用意して……。
あきれるくらいの遊びっぷりです。

それでも、そのころから、子どもたちに変化が起き始めました。
遊ぶだけ遊ぶと、ほんのちょっと集中してソロバンに向かうようになったのです。

「やらされる」のではなく「自発的に」学ぶことの積み重ねで、「楽しく学ぶ習慣」を身につけてもらおうという、わたしの作戦が実を結び始めたのです。

「大・大・大成功〜」

今ではこの子たちが、昇級試験を受けるために、1時間集中してソロバンに向かうようになりました。
計算が苦手だった生徒さんたちも、「わたし算数得意だよ」と自信を持って言えるようになりました。

補習塾や進学塾には、いろいろなスタイルがあると思います。
「勉強が楽しい」「世界を広げることが楽しい」ということに気づいてもらうためのソロバン教室。
わたし自身も、子どもたちと同じくらい楽しみながら、ソロバンを教えています。


☞ 田舎暮らしの詩 VOL.1 から読む