厚生労働省は、10月28日、平成28年「高年齢者の雇用状況」(2016年6月1日現在)の集計結果を公表しました。
希望者全員が65歳以上まで働ける企業は74.1%(常時雇用する労働者数31人から300人規模の中小企業で76.5%、301人以上規模の大企業で53.8%)になるなど、60歳台の雇用は進んでいます。
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの安定した雇用を確保するため、全企業に「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」の3つのうち、いずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在での高年齢者の雇用状況を報告するよう、従業員31人以上の全企業に求めています。
今回の集計結果は、常時雇用する労働者が31人以上の企業153,023社の状況をまとめたもので、主なポイントは、以下のとおりです。
(1). 高年齢者雇用確保特別措置の実施
65歳までの安定した雇用を確保するため、企業は「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置、高年齢者雇用確保措置を講じるよう義務付けられています。これらの措置を実施済みの企業割合は99.5%(対前年差0.3ポイント増加)となっています。実施済みの企業では、「継続雇用制度の導入」が8割(81.3%)と高い割合を示しています(残りは、定年の引上げが16.1%、定年制の廃止が2.7%となっています)。
(2). 希望者全員が65歳以上まで働ける企業
希望者全員が65歳以上まで働ける企業は74.1%と、前年と比べ1.6ポイント増加しています。内訳は、「希望者全員65歳以上の継続雇用制度」が55.5%、「65歳以上定年」が16.0%、「定年制の廃止」が2.7%となっています。
(3). 70歳以上まで働ける企業
70歳以上まで働ける企業も、21.2%と前年と比べ1.1ポイント増加しています(中小企業では22.1%、大企業では13.9%)。
(4). 60歳定年到達者の動向
60歳定年企業における、過去1年間の定年到達者(352,761人)のうち、継続雇用された人は292,408人(82.9%)、継続雇用を希望しない定年退職者は59,485人(16.9%)、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は868人(0.2%)と、定年到達者のうち、約8割の者が継続雇用されています。
政府は、雇用確保措置が未実施である31人以上規模企業748社に対して、都道府県労働局、ハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導を強力に実施し、早期解消を図るとともに、年齢にかかわりなく働き続けることが可能な企業の普及・啓発等に取り組むとしています。