今月は同音異義語関連のシリーズではなく、閑話休題で、昏倒して、左膝蓋骨骨折となってしまいました。が、それにも懲りずに、松葉杖をついて海外出張をした顛末を紹介します。
転倒そしてコルセットが固められた
5月28日(日)午前中にマンション内でずれた敷石に躓いて転倒しました。左手に荷物を運ぶキャリーを持っていて、手を突けず、左膝をバーンと勢いよくぶつけてしまいました。一瞬目の前がちかちかしましたが、どうにか起き上がって左足を引きずりながら、4階の自宅まで上がり、湿布をして、昼食を準備し、午後はずーっと仕事でWeb会議をしました。夜は保冷剤を何度が変えて冷やしましたが、このままでは水曜日からの海外出張に行けなくなると思い、月曜日朝に整形外科を受診しました。
レントゲンを撮った結果、左膝蓋骨骨折と診断され、まず内出血の血液を注射で除いてもらいました。そして、左膝を曲げるとずれてしまって手術せねばならなくなるので、膝が曲がらないようにと、写真1のような足首から大腿部までのコルセットで固められました。全治1か月、はずしてよいのはシャワーの時だけという厳しい指示です。で、恐る恐る、
筆者:実は31日から海外出張したいのですが、よろしいでしょうか?
医師:え、どこ行くの?
筆者:バンコクです。
医師:どのくらい飛行機に乗っているの?
筆者:6時間ぐらいです。
医師:うーん、エコノミー症候群が心配だね、血栓できたら大変だから、足首など動かしてね。あと、帰ってきたら、まず受診してレントゲン撮るように。
筆者:はい気を付けます。
と了解を得ましたが、実はバンコクのあとデリーも寄るのですが、それには触れず・・
いざ羽田国際空港、そしてバンコク国際空港
31日出発です。羽田空港第3ターミナルはいつものように混雑しています。が、松葉杖をついてチェックインすると早速アシスタントの方が車いすをもって登場です。そのあとは、アシスタントの方がスーツケースをもって車いすを押して下さり、筆者は松葉杖をもって車いすに乗ったまま、保安検査場も出国検査場もすべて優先ゲートで、楽々通過です。
アシスタントの方曰く、日本人は怪我をした時などに車いす利用するが、それ以外ではあまり利用がない。一方ホーチミン行きの乗客などは30台もの車いす利用者がいるので、アシスタントを集めるのが大変とのことでした。
バンコク国際空港に到着し、飛行機から降りるとすぐ車いすで出迎えがあり、入国審査も優先でした。ただ、膝を覆うコルセットが麻薬密輸でないかと、検査紙でなでられるチェックがありましたが、それ以外では特に問題なしでした。
バンコクでの外出
バンコクでは仕事先でも車いすを使わせてもらい、工場見学も楽をさせていただきました。またデリーに移動する前の6月3日(土)は市内観光で、バンコクでの展望場所であるマハナコーンというビルに向かいました。地上300mの最上階が屋外の展望台になっており、360度バンコク市内を見渡すことができます。さらに一部が写真2のように下がガラスになっていて、下部に広がる建物群を見下ろすことができます。係員が松葉杖の先に靴カバーを巻き付けてくれましたが、すぐとれてしまうので、松葉杖をつけず、こわごわと歩いた次第です。
6月3日はタイ国女王の誕生日のため、アルコール禁止でしたが、普段は360度の展望を楽しみながらビールも飲めるようです。また展望台の下にはレストランがあって、多くの方が、昼食を楽しんでいました。ぜひ、読者の方も、機会があったら、絶景を楽しんでみてはいかがでしょうか?
そんなこんなでデリーへの移動も帰国も車いす優先で列に並ぶことありませんでした。コルセットを外しての保安検査もなく、麻薬検査もなく、あっけないほどでした。デリーからの便が羽田についたときには、早朝にもかかわらず、30台近い車いすが、到着ゲートで待機していました。車いすのアシスタントの方曰く、「アジアの高貴な方は歩行する姿を見せてはいけないということもあり、車いすの台数が多い」とのことでした。また4月末にパリから帰国した時にはあったCOVID19 の確認も、5類への移行でなくなっていました。
こんなに楽なら、次の海外旅行では夫に車いすを手配し、その付き添いで、自分も楽をしようと決意した次第です。膝のほうは、松葉杖はつかずに杖だけで歩けるようになりましたが、あと10日間ほどはコルセットを外せません。在宅勤務は家事もあり、海外出張のように、すべて優先で楽ちんとはならないのが残念です。
最後に今回の海外出張では日本特殊陶業(株)の皆様、また航空会社の皆様はじめ多くの方にお世話になりました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
(2023年6月)
筆者紹介
土井 美和子氏
国立研究開発法人情報通信研究機構 監事(非常勤)
東北大学 理事(非常勤)
奈良先端科学技術大学院大学 理事(非常勤)
株式会社三越伊勢丹ホールディングス 取締役(社外)
株式会社SUBARU 取締役(社外)
日本特殊陶業株式会社 取締役(社外)
1979年東京大学工学系修士修了。博士(学術)。同年東京芝浦電気株式会社(現㈱東芝)総合研究所(現研究開発センター)入社。博士(工学)(東京大学)。以来、東芝にて35年以上にわたり、「ヒューマンインタフェース」を専門分野とし、日本語ワープロ、機械翻訳、電子出版、CG、VR、ジェスチャインタフェース、道案内サービス、ウェアラブルコンピュータ、ネットワークロボットの研究開発に従事。