政府は、6月16日の閣議で平成29年版「高齢社会白書」を決定し、公表しました。
高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、高齢化の状況や政府各省が講じた高齢社会対策の実施の状況、今後講じようとする施策について総合的に明らかにしているものです。
高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向について、主な内容は以下の通りです。
1. 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2013(平成25)年時点で男性が71.19年、女性が 74.21年となっており、それぞれ2001(平成13)年と比べて延びています。しかし、この間の健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は、同期間における平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べて小さいものとなっています。
2. 65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計をみると、2012(平成24)年では認知症高齢者は462万人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15.0%)ですが、2015(平成37)年には約5人に1人になるとの推計を紹介しています。
3. 60歳以上の高齢者の経済的な暮らし向きについてみると、『心配ない』(「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」の計)と感じている人の割合は全体64.6%であり、年齢階級別にみると、「80歳以上」 は71.5%と高い割合となっています。
4. 60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか聞いたところ、「働けるうちはいつまでも」が42.0%ともっとも多く、次いで「70歳くらいまで」が21.9%、「65歳くらいまで」が13.5%、「80歳くらいまで」が11.4%となっており、就労を希望する高齢者の割合は合わせて93.2%になっています。
5. 高齢者の実際の就業状況をみると、男性の場合、就業者の割合は、55〜59歳で90.3%、60〜64 歳で77.1%、65〜69歳で53.0%となっており、60歳を過ぎても、多くの人が就業しています。また、 女性の就業者の割合は、55〜59歳で69.0%、60~64歳で50.8%、65〜69歳で33.3%となっています。