厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。
(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11602000-Shokugyouanteikyoku-Koyouseisakuka/0000093462.pdf)。
総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。(http://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/tsuki/pdf/201506.pdf)
2つの調査の2015(平成27)年6月分の状況が両省から7月31日に公表されました。総じて、雇用情勢は好調な水準が続いています。
仕事を求めている人一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、6月の有効求人倍率(季節調整値)は前の月と同じ1.19倍と、高い水準が続いています。
一方、完全失業率(季節調整値)は、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合ですが、6月は3.4%と前月より0.1%増加しました。就業者(働いている者)は増えていますが、新たに職探しを始めながら就業に結びつかなかった人が増え、完全失業者が前月より4万人増えたためです。
総じて、雇用情勢は好調な水準が続いています。
全国の公共職業安定所(ハローワーク)で受け付け現在も求人中の有効求人数を、ハローワークでの求職活動を行なっている求職者総数(有効求職者数)で割った有効求人倍率(季節調整値)は、雇用動向を示す重要指標の一つです。
平成27年6月では1.19倍と、前月と同水準で、2013年11月以降、1.0倍を上回っています。ただし、正社員だけでみた正社員有効求人倍率は0.75倍(季節調整値)と1倍をかなり下回っています。
(注)
1.月別の数値は、季節による変動要因を除いた季節調整値である。なお、平成26年12月以前の数値は、平成27年1月分公表時に新季節指数により改訂されている。
2.文中の正社員有効求人倍率は、正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているが、パートタイムを除く常用の有効求職者には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる。
3.文中の産業分類は、平成25年10月改定の「日本標準産業分類」に基づくもの。
6月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると6.8%増となりました。
これを産業別にみると、教育・学習支援業(20.4%増)、宿泊業・飲食サービス業(14.1%増)、卸売業・小売業(10.6%増)、医療・福祉(9.8%増)、多くの産業で増加となっていますが、サービス業(他に分類されないもの)(1.3%減)は減少となりました。
新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。
5月の新規求人の減少(4.0%減)は6月に続かず、好調な雇用情勢が続いているようです。
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、全国で最高は東京都の1.73倍、最低は埼玉県の0.82倍(埼玉県は東京への通勤者が多く、求人も東京の企業からのものが多い。)となっています。
全国の完全失業率(季節調整値)も同日総務省統計局から公表されましたが、3.4%と前月に比べ0.1ポイント上昇しています。
完全失業率(季節調整値)は、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合ですが、6月は3.4%と前月より0.1%増加しました。就業者(働いている者)は増えていますが、非労働力人口(人口全体から労働力人口を引いたもの)が前年同月に比べ3カ月ぶりに15万人減少し、新たに職探しを始めた人が増えたためです。
総務省は、雇用回復期の特徴と分析しています。
但し、生産に弱さがみられ、4~6月期はGDP(国内総生産)の年率換算でみた成長率をマイナスと予測するエコノミストが多く、景気の先行きについては一時的な下振れが見込まれています。