雇用保険③失業手当と老齢厚生年金の併給調整

調整の基本的なしくみ

老齢厚生年金と雇用保険の基本手当は、ともに所得保障のための給付です。したがって、所得保障が重複して行われることがないよう、併給調整が行われます。

65歳未満の老齢厚生年金の受給権者が、ハローワークへ求職の申し込みをしたときは、求職の申し込みをした月の翌月から、失業手当の受給期間が経過した日の属する月または所定給付日数を受け終わった日の属する月(調整対象期間)までの間、「老齢厚生年金」の支給が停止されます。ただし、調整対象期間において失業手当を受けた日とみなされる日及びそれに準ずる日が一日もない月がある場合は、その月分については老齢厚生年金が3ヶ月程度後に支払われます。

事後清算について

前述のとおり、調整対象期間中において、失業手当を受けたとみなされる日やこれに準ずる日が一日でもある月については、老齢厚生年金が支給停止されることになりますが、同じ日数分の失業給付を受給した場合でも、人によって年金の支給停止月数が異なるという不合理なケースが生じてしまいます。このため、失業手当の受給期間が経過した日(または所定給付日数を受け終わった日)において、以下のような一定の調整が行われます。

支給停止解除月数 = 年金の支給停止月数
-基本手当の支給を受けたともなされる日数÷30

60歳から65歳の間で賃金が低下した場合、高年齢雇用継続給付が受けられます。

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。

https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/kourei_kyufu.pdf

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