未払賃金立替払制度

会社が倒産して給与が支払われない時に利用できる制度です

倒産によって給与が支払われないまま退職した労働者に、未払い分の一部を立替払いする制度が「未払賃金立替払制度」です。全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康福祉機構が制度を実施しており、立替払いした分は、労働者健康福祉機構がその分の賃金債権を取得して、本来の支払い責任者である使用者に請求します。

制度を利用するには、労災保険に適用事業所(農林水産の事業のうち常時使用労働者が5名未満の個人経営の事業以外で、1名でも労働者を雇用している事業。労災保険に加入、未加入は問わない)で、1年以上事業活動を行っていた使用者(法人、個人を問いません)が倒産したことが前提となります。ここで言う倒産には「法律上の倒産」と「事実上の倒産」があります。法律上の倒産は、破産手続、特別清算手続、民事再生手続、会社更生手続、会社整理など法律上の倒産手続きを踏んだ倒産で、事実上の倒産は、法律上の手続きを踏んでいないが、中小企業が取引先から倒産扱いをされ、事業再開の見込みがなく、賃金支払い能力がない場合を指します。

立替払いを受けることができるのは、裁判所に対する破産等の申立日(法律上の倒産の場合)または労働基準監督署長に対する倒産の事実についての認定申請日(事実上の倒産の場合)の6ヵ月前の日から2年の間に退職した場合です。

未払い額の80%、最大296万円まで立替払いを受けることができます

申請は、未払い賃金の額などについて、破産管財人などによる証明(法律上の倒産の場合)や労働基準監督署長による確認(事実上の倒産の場合)を受けたうえで、独立行政法人労働者健康福祉機構に立替払いの請求を行います(事実上の倒産の場合、倒産の認定の申請をすることができる期間は、倒産した企業を退職した日の翌日から起算して6ヵ月以内に限られます)。

立替払いの対象となる未払い賃金は、退職した日の6ヵ月前から立替払い請求日の前日までに支払い期日を迎えた定期賃金と退職手当の未払い分です。未払い総額が2万円未満の場合やボーナスは対象になりません。立替払いされるのは、未払い額の8割となります。ただし、退職時の年齢に応じて88〜296万円の範囲で上限が設けられています。

立替払い額
退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払限度額
45歳以上 370万円 296万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
30歳未満 110万円 88万円

請求ができる期間は、裁判所の破産などの決定日(法律上の倒産の場合)または労働基準監督署長による倒産の認定日(事実上の倒産の場合)の翌日から起算して2年以内に限られています。

未払賃金の立替払に関する相談や問い合わせは、最寄りの労働基準監督署または以下の労働者健康福祉機構で受け付けています。

全国の労働基準監督署の所在地案内
(厚生労働省ホームページ・都道府県別)

労働者健康福祉機構 産業保健・賃金援護部 審査課 立替払相談コーナー
電話相談窓口 : 044-556-9881
相談受付時間 : 月~金 9時15分~17時
(土曜、日曜、祝日休み)
(電子メール、ファックス、郵便による相談は受け付けていません)
〒212-0013 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地ソリッドスクエアビル東館 17階

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