2021年7月の有効求人倍率は1.15倍(季節調整値、季節による変動を除いた数字)と前月より0.02ポイント上昇しました。2016年10月以降、2020年3月まではすべての都道府県で1倍以上となっていましたが、複数の都道府県で1倍未満となっています(求人受理地別)。正社員の有効求人倍率は0.94倍(季節調整値)となりました。7月の完全失業率は2.8%と前月より0.1ポイント低下しました。前年同月比でみると、就業者は4ヶ月連続で増加、完全失業者は18ヶ月ぶりに減少しました(就業者は56万人の増加で6,711万人、完全失業者は6万人の減少で191万人)。新型コロナウィルスの影響による雇用情勢の悪化が続いています。
厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。
(7月分)
総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。
(7月分)
(注)有効求人倍率は、仕事を求めている求職者一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、労働市場の基本指標で、完全失業率は、労働力人口に対する完全失業者数で表わされます。両指標とも、各月の数字は、通常、季節による変動要因を除いた季節調整値が使用されます。2つの調査の2021年7月分の状況が両省から8月31日に公表されました。
2021年7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.02ポイント上昇し、1.15倍でした。有効求人(季節調整値)は前月より1.5%増加、有効求職者(同)は0.5%減少しました。また、正社員の有効求人倍率は前月と同水準で、7月は0.94倍となりました。なお、新規求人倍率(季節調整値)は1.98倍となり、前月より0.10ポイント低下しました。
新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。7月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると8.3%増となり、4ヶ月連続で増加しました。前年同月比を産業別にみると、製造業(40.8%増)、サービス業(他に分類されないもの)(11.5%増)、運輸業・郵便業(10.6%増)で増加となり、宿泊業・飲食サービス業(0.9%減)、教育・学習支援業(0.4%減)で減少となりました。
主要産業における対前年同月比の推移
7月の都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、求人受理地別では、最高は福井県の1.83倍、最低は神奈川県と沖縄県の0.76倍、実際の就業地別では、最高は福井県の1.95倍、最低は沖縄県の0.84倍となりました。複数の都道府県で1倍を下回る状況が続いています。
求人、求職及び求人倍率の推移
7月の全国の完全失業率(季節調整値)は、2.8%と前月より0.1ポイント低下(改善)しました。7月は、就業者(働いている者)が6,711万人と前年同月に比べ56万人の増加となり(4ヶ月連続の増加)、完全失業者数は191万人と、前年同月に比べて6万人の減少となりました(18ヵ月ぶりの減少)。求職理由をみると、「勤め先や事業の都合による離職」が1万人増加、「自発的な離職(自己都合)」が3万人減少、「新たに求職」が1万人減少しました。
求人倍率、失業率(季節調整値)は、2021年1月分結果発表時、過去に遡って改定されています。
厚生労働省は2020年5月29日以降、「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」として、情報を公開しています。