2017年4月の有効求人倍率は1.48倍(季節調整値、季節による変動を除いた数字)と前月より0.03ポイント上昇し、バブル期の最高水準を超えました。また、7ヵ月連続ですべての都道府県で1倍以上となりました。
4月の完全失業率は2.8%(季節調整値)と前月と同水準でした。前年同月比でみると、就業者は52ヵ月連続で増加、完全失業者は83ヵ月連続で減少しています(就業者は80万人増加の6,500万人、完全失業者は28万人減少の197万人)。厚生労働省は、「雇用環境は着実に改善が進んでいる」としています。
厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。
(4月分)
総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。
(4月分)
(注)有効求人倍率は、仕事を求めている求職者一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、労働市場の基本指標で、完全失業率は、労働力人口に対する完全失業者数で表わされます。両指標とも、各月の数字は、通常、季節による変動要因を除いた季節調整値が使用されます。
2つの調査の2017年4月分の状況が両省から5月30日に公表されました。総じて、雇用情勢は好調な状況を続けています。
2017年4月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.03ポイント上昇し1.48倍でした。企業の人手不足感は一段と強まっており、バブル期の最高水準(1990年7月の1.46倍)を超え、1974(昭和49)年2月(石油危機の到来後の不況で高度経済成長が終わりをつげる直前)以来43年2ヵ月ぶりの高さとなりました。
新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。4月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると3.2%増となりました。前年同月比を産業別にみると、運輸・郵便業(8.3%増)、製造業(7.9%増)、建設業(6.9%増)、生活関連サービス・娯楽業(6.1%増)、サービス業(他に分類されないもの、5.7%増)などで増加となり、減少は卸売業・小売業(3.8%減)など一部の業種のみでした。
4月の都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、求人受理地別では、最高は東京都の2.07倍、最低は北海道の1.09倍、実際の就業地別では、最高は福井県の2.06倍、最低は北海道の1.13倍となりました。人手不足は全国的で、求人受理地別でも就業地別でも、全都道府県で1倍以上となっています。東京都、大阪府、愛知県等一部の都府県以外では低く出がちな求人受理地別でみても、全都道府県で7ヵ月連続1倍以上となっています。
2017年4月の全国の完全失業率(季節調整値)も同日総務省統計局から公表されましたが、2.8%と同水準でした。
(注)完全失業率は、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合です。
3月には、就業者(働いている者)が6,500万人と前年同月に比べ80万人増加し(52ヵ月連続の増加)、完全失業者数も197万人と、前年同月に比べて28万人減りました(83ヵ月連続で減少)。求職理由をみると、「勤め先や事業の都合による離職」が9万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」が5万人の減少でした。
(注)完全失業率(季節調整値)は、2017年1月分結果発表時、過去に遡って改定されています。また、2017年1月分結果から2015年国勢調査結果を基準とする推計人口(新基準)に切り替えられており、就業者数、完全失業者数等の原数字も微妙に修正されています。
塩崎厚生労働大臣は、5月30日の閣議後の記者会見で、「現在の雇用情勢は着実に改善が進んでいるという認識には変わりがない。」と述べました。
このように、人手不足が一段と深刻化しており、その原因追及が新聞紙面等をにぎわしています。介護、運輸等とくに第3次産業分野での処遇改善が遅れていることなど多くの原因がからんでいますが、大きな原因の一つが、少子化で若年人口が減少している中で増加している高齢者の活用が遅れていることです。多様な柔軟な働き方を工夫しつつ、70歳程度までの本格就業の実現を目指す必要があります。