来春大卒予定者の就職活動が最大のヤマ場を迎えています。
2016年春入社の大学生・大学院生の就職・採用活動が8月1日、本格的に始まりました。
大企業約1300社が加盟する経団連は、新卒者採用・選考について定めた「採用選考に関する指針」を、来年(2016年)春の新卒者採用から見直しました。
企業説明会など広報開始を大学3年の12月から3月に、面接など採用選考開始は4年の4月から8月に後ずれさせていますが、正式内定開始は従来通り10月のままです。
就活の早期化・長期化が学業の支障となるとする政府要請を受け入れたものです。(https://www.keidanren.or.jp/policy/2014/078_shishin.pdf)
景気回復などを背景に、これまでに比べ学生優位の売り手市場となっています。リクルートワークス研究所によると、16年春卒業予定の大学生・大学院生の求人倍率は、1.73倍と4年連続で上昇しています。(http://www.works-i.com/pdf/150422_kyuujin.pdf)
しかし、採用選考開始から正式内定時期まで2ヶ月しかありません。
銀行や商社、大手メーカーなど経団連加盟企業の選考は8月1日の解禁後、1〜2週間、企業によっては数日で実質的な内定者を決める「短期決戦型」になりそうです。
経団連未加入で経団連の指針に縛られない大手・中堅企業ではすでに内定を出した企業が多くありますが、こうした企業では、内定者を集めた研修の実施など、内定者のつなぎ止めに苦心しています。
各新聞社の報道を見ると、多くの経団連加盟企業で、8月1日の解禁前に「面談」と称した実質的な選考に乗り出すなど、指針は早くも形骸化しつつあるようです。
大学生は通常3年生の夏からインターンシップ(就業体験)などを通じて就活を始めますが、昨年は5月の大型連休ごろには大手企業の内々定を手にできました。
今年は8月中旬ごろとなり学生の就職活動はむしろ長期化しているようです。
企業側の視点では、適切な社員を確保しやすくなったのか否か、企業間の公平性では問題はないのか、学生ないし大学側の視点では、学生の負担が低下し、学業へのメリットがあったのか、それとも逆だったのか、など今回の就職・採用活動を早急に点検し、来年の活動の改善につなげてほしいものです。