近年、高齢の運転者が関係する事故の報道を目にすることが多くなりました。
運転免許証の自主返納制度に興味を持つ方も多くいらっしゃるようです。
意外と知られていない運転経歴証明書についても様々な使用方法があります。
高齢者交通事故は統計上どのようになっているでしょうか
内閣府が公表した 平成29年交通安全白書(概要)/特集「高齢者に係る交通事故防止」
内の『I 高齢者を取りまく現状』では、75歳以上の運転者について、以下のように書かれています。
- 死亡事故件数は、免許人口10万人当たりで比較すると、75歳未満の2倍以上多く発生している
- 運転免許保有者数は、平成28年末に約513万人となり、今後も増えていくと推計される
- 個人差は大きいが、加齢による身体能力の低下が運転に悪影響を及ぼす傾向がある
- 加齢に伴う認知機能の低下も懸念される
また、同特集の『II 高齢者に係る交通事故防止に向けた取組』では、高齢運転者への講習等の充実、交通規制の見直し、高速道路等における逆走対策等の取組などに加えて、「道路交通法の改正」「運転免許証の自主返納制度の周知」「公共交通の確保」について書かれています。
道路交通法の改正
平成29年3月12日に施行された改正道路交通法では、75歳以上の運転者に対して、以下のように定めています。
- 一定の違反行為をした場合は、臨時認知機能検査を行い、結果によっては臨時高齢者講習を実施する
- 免許更新時の認知機能検査(平成21年に義務化)または臨時認知機能検査の結果、認知症のおそれがあると判定された場合は医師の診断を要する
運転免許証の自主返納制度と「運転経歴証明書」
運転免許証の自主返納制度は、平成10年に制度化されました。高齢運転者が身体機能の低下等を理由に自動車等の運転をやめる際には、本人の申請により運転免許を取り消し、運転免許証を返納することができます。
運転免許証の返納後5年以内に申請すれば、「運転経歴証明書」の交付を受けられます。制度が始まった当初は有効期限が設定されていましたが、平成24年4月1日以降に交付された証明書は、無期限に有効です。
運転経歴証明書は、金融機関の窓口等で本人確認書類として使用することができます。また、高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで、様々な特典を受けることができます。
(参考:警視庁による自主返納制度告知)
公共交通の確保
コミュニティバスやデマンドタクシーといった公共交通機関の導入で、免許返納時の不便を減らす取り組みが各地で行われています。
自分にとってはまだ先の話だったとしても、身近で起こりうる、誰しも直面する課題です。
実際に免許を返納した人の記事を読むと、運転できなくなると、「事故を起こす心配がなくなって安心」という感想もあれば、「不便になる」「想像以上に落胆する」といった感想も見られます。
最新の制度を理解し、運転の代替手段や気持ちの問題についても知識を持って、最善の対処ができるように備えましょう。