政府は20日の閣議で、平成28年版「高齢社会白書」を決定しました。
高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、今後講じようとする施策について明らかにしているものです。
政府は20日の閣議で、平成28年版「高齢社会白書」を決定しましたが、この中で、内閣府が、平成27年10月から12月にかけ、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの60歳以上の男女各国約1、000名程度を対象にして実施した「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」の結果を紹介しています。
以下のような調査結果が紹介されています。
- 50歳代までに老後の経済生活に備えて特に行ったことについては、「特に何もしていない」と答えた人の割合は日本が42.7%と最も高く、ほかの3か国ではいずれも20%台となっています。なお、日本とアメリカは、「預貯金」「個人年金への加入」、ドイツは「預貯金」「不動産取得」、スウェーデンは「個人年金への加入」、「債券・株式の保有、投資信託」との回答が多かったです。
- 現在の貯蓄や資産については、「やや足りない」「まったく足りない」と答えた人の割合も、日本が57%と最も高く、ほかの3か国では10%台後半から20%台前半にとどまっています。日本の高齢者は、公的年金の他に、50代までに行った老後の備えとして、主に「預貯金」や「個人年金への加入」を行っているが、一方で約 4割は「特に何もしていない」と回答しています。また、6割近くの者が、現在の貯蓄や資産が老後の備えとして「足りない」と回答しています。白書は、若い時期から老後を見据えて準備を始めることが重要と考えられる、としています。
老後の備えとしての現在の貯蓄や資産の充足度(複数回答)
- 今後、収入を伴う仕事をしたいと回答した高齢者の割合は、日本が44.9%ともっとも多く、アメリカ39.4%、スウェーデン36.6%、ドイツ22.7%と続いています。白書は、就労を希望する高齢者に対して、多様なニーズに対応した就業機会の提供を図る必要がある、としています。
- 家族以外に相談や世話をし合う親しい友人がいるかを尋ねたところ、「いずれもいないと答えた人の割合は、日本が25.9%と最も多く、ドイツ17.1%、アメリカ11.9%、スウェーデン8.9%と続いています。白書は、高齢者が地域社会から孤立しないよう、さまざまな取り組みを推進することが必要だとしています。
親しい友人の有無