自殺者数は7年連続で減少、しかし世界的には依然として高い結果となっています。
政府は、5月30日、2017(平成29)年版の「自殺対策白書」を閣議決定しました。
自殺対策白書
白書に盛り込まれた警察庁の統計によると、2016年の自殺者数は、前年比8.9%減の2万1,897人で、7年連続で減少し、22年ぶりに2万2,000人を下回りました。
しかし、人口10万人あたりの自殺者数は、19.5人(2014年)と、世界保健機構(WHO)のデータが取れる約90カ国中では6位に位置づけられ、世界的には依然高い水準にあります。
自殺状況について、白書は、以下のように分析しています。
(1)50歳代は2003(平成15)年を境に減少傾向にあり、ここ数年は60歳代から20歳代までの各年齢階級も 減少傾向にある。
(2)原因・動機別の自殺の状況については、2006(平成18)年までの状況についてみると、1998(平成10)年に自殺者が急増した際には、「家庭問題」や「勤務問題」が若干増加し、「健康問題」や「経済・生活問題」が大きく増加している。その後「健康問題」は減少傾向にあったが、2003年に一旦増加した。「経済・生活問題」については、1998(平成10年)の急増の後、横ばいで推移したが、2002年、2003年と更に増加し、その後は減少傾向にある。
(3)2015(平成27)年における配偶関係別の自殺死亡率の状況をみると、男女共に「有配偶者」は全ての 年齢階級で各年代別の総数よりも低くなっている一方、「未婚」、「死別」、「離別」は高く なっている。
(4)日本、オーストラリア、カナダ、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、韓国、ロシア、英国、米国の12か国につき、1990年時点と2011年時点とを比較すると、1990年時点ではロシアが最も多く、2011年時点では米国が最も多くなっているという違いはあるが、日本は1900年時点、2011 年時点ともに12か国中3番目に自殺者数が多い国となっている(1990年では、フィンランド、ロシアに次ぎ、2011年では、韓国、ロシアに次ぐ)。
2015(平成27)年1月に閣議決定された「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」において、自殺対策の推進業務は内閣府から厚生労働省へ移管することとされ、2016(平成28)年4月に業務が移管されました。2006年10月の自殺対策基本法の施行以来、内閣府において自殺総合対策大綱を2度策定し、これに沿った様々な取組が進められてきた結果、自殺者数が約2万4,000人まで減少するなどの成果を出してきました。
しかし、今後、健康問題や経済的困窮を始めとする自殺の背景にある様々な要因に対して、地域において自殺対策の中核を担っている自治体の保健・福祉部局等や、経済的な自立を支えるハロー ワークなどの現場と緊密に連携することがますます重要となると考えられ、こうした現場と関連が深い厚生労働省に移管することで、取組体制の更なる強化を図ることにしたものです。国際的にはいまだ高い自殺率ですが、こうした取組み体制強化による着実な低下が期待されます。