転職にあたっては、今までの自分の仕事人生を振り返り、整理する必要があります。これをキャリアの「棚卸し」と言います。
整理をしておけば、転職時に最も重要な書類である「職務経歴書」を作成する時や、面接におけるPRポイントを考える際に、有効な材料となります。
具体的には、「どんな部門でどんな仕事を経験してきたか」「どういった実績を上げ、身につけたスキルは何か」等を時系列で書いていきます。
まずは記憶や記録をさかのぼり、入社から現在までの経緯を、年代を追ってリストアップしましょう。その際、在籍した部署名や仕事の内容に加え、達成した成果や実績等を具体的に記入します。出来れば具体的な数値で表記出来れば、客観的にも成果の度合いが分かりやすくなります。
マネジメントの経験等は、部署の人数や部署の成果、成果を挙げるために取り組んだことなど、その過程についても分かる範囲で記入します。また習得したスキルや資格、大きな節目となった出来事なども記入していきます。
事実を列挙していくなかで、「この時の製品開発が評価され、新事業部を任された」といった評価と結果の関連づけができれば、それも書き加えます。こうすることで、現在の自分に至る流れが明確になり、セールスポイントなどを客観的にとらえることができるのです。
ここまでが、仕事の経験と実績に関する事実関係の整理です。
次に、こうしたキャリアの年表の他に、ご自身なりの仕事の進め方や蓄積したノウハウ、仕事に対する信条等も今までを振り返る中でまとめておくとよいでしょう。例えば、マネジメントの経験であれば、部下をまとめ組織の成果を挙げるためにどのような方法で行ったか。社内プロジェクトリーダーの経験であれば、プロジェクトをどのように組織化し、またプロジェクトを円滑に進め、また成果を出すためにどのような工夫をしたか。またそうした行動の源泉となっている考え方は何か。
このようなことを客観的に分析をしておくことも、転職活動をする際、自己アピールの材料になります。
こうしてできたキャリア年表をベースに、職務経歴書や自己PR書等を作成していきます。
中高年には、「落ち着きがあり、豊富な知識や経験をもっている」というプラスイメージと、「融通がきかない、鍛えても伸びない」というマイナスイメージが共存しています。下表を参照しながら自分のキャリアを再確認することで、年齢的な不利を十分にカバーできる強みをさまざまな角度から見つけ出し、自信をもって再就職に臨みましょう。
自分のキャリアを確認
強みポイント
健康面
長期勤続中にほとんど病欠がなかったことが、何よりの証明です。
頭脳面
週に数冊は本を読む、50代でパソコンを始めたなど、積極的な姿勢を。
性格面
多くの人生経験から培われた穏やかさと精神的な強さは、若者には簡単に手にいれられない美点です。
判断力
これまでチャレンジ精神や行動力を存分に発揮し、その結果として備わった判断力は大きな財産といえます。
常識力
ビジネスマナーや社会常識に強い人は、職場の雰囲気を引き締め、周囲の手本となることが期待されます。
指導力
管理職経験ばかりではなく、現場ひとすじで多くの後進を育ててきた実績や、リーダーとしての責任のとり方を学んできたことも、立派な経歴です。